はんぶんくらいとうめいなまいにち

もうすこしだけ、わかりやすく、

2023-01-01から1年間の記事一覧

はだしだからつめたい

もうダメだと思うときは目をぎゅっとつむって私が死んだあとのことを考える。火葬場でめらめらと焚かれるときはきっと真冬の温泉みたいに心地よいはずでわたしは真っ白の湯気みたいにゆらゆらと空のなかを踊るのだ。エンゼルケアでネイルもお願いできるのだ…

ミルフィーユの美学

わたしをわかってあげられるのはわたしだけだよ。と、ひとりでに。さみしいね。さみしいよ。さみしくないはすがない。いつも孤独はそばにいる。わたしが思いださないようにしているだけで良いときも悪いときもぽわっと浮かんでいる。いっそ泣くための理由が…

アンダーカレント

アンダーカレント。やさしさと呼ばれるものに近づいては遠ざかって。静かに生きることを肯定された気がする。決められた枠のなかで、波紋が広がって、大丈夫だよこぼれないからね。口紅も塗らないままで、頼りない体温のままで、歩きつづけよう。結末は誰に…

あるゆえのにあうおんなのこ

会いたいの四文字をためらわない。子犬のくしゃみとしっぽを愛でる会。水曜日の真夜中はストレスに包囲されている。あんしんとぜつぼう。重い前髪をザクザク切った。視界が良すぎるので眼鏡を外す。目標も、評価も、わたしも、ぼやけてるくらいがちょうどい…

真夜中のサンクチュアリにて

図書館が好きだ。めくる紙の手触りも、ほこりっぽい匂いも、訪れる人々の気配も、どこからか流れてくるオルゴールも。だからこそ、わたしのとなりで叱られている子どもを見ていると息が詰まった。目を合わせるのが恐ろしいことばかりだ、と泣いているのはも…

悪意のない自己愛の美学

会いたいと言わない夜がすきだ。寝転がって漫画を読んだり、鼻歌を歌ったり、気まぐれに手紙を書いたりして、その隙間を無理に埋めようともせず、次の約束を想像してゆるゆると情けない表情を隠すでもない。そんな時間を愛おしく思えるほどに、誰かを信じら…

金継ぎの如く

iPhoneの画面が割れているのをそのままにしていたら左側が反応しなくなってきた。どうして保護シールを貼らなかったのかといろんな人に言われるけれど、ケガをしても傷つかないなんて変だと思ったから、という本当の理由はいつも言えなかった。めんどくさく…

ふつうのせいかつ

きのうはうまくいかなかった。でも腐らずに簡単な夜ごはんを食べて湯船に浸かって21時過ぎには眠った。またあさがきた。ゆううつだった。でも腐らずに顔を洗って歯を磨いて髪をひとつに結んだ。お弁当を詰めたり洋服を選んだり化粧をしたりしているとあっと…

思うままにと言うけれど

iPhoneの充電が切れていてアラームが鳴らなかった。周期的なものなのか天気なのか頭がズキズキと痛む。全部の予定をキャンセルした。薬を飲んで寝て起きてまた寝た。身体の求めることをしているはずなのに。今日達成できたはずのタスクを数えてしまうから余…

ちっともおもいだしたくない

美談にするのは当事者だけでいい。わたしのことはわたしがいちばんすきできらい。だから迷えるのね、と贅沢を知らない猫が鳴きました。あなたの髪にドライヤーを当てるときの孤独。夏の植物の匂いがするね。アマレットをかけたアイスクリイムを頬張る夢をみ…

それとなく口実がほしかっただけ

お弁当に入れた冷凍のえびグラタンを食べるとカップの底から『今の気持ちを大切に!恋愛運☆☆☆』なんてメッセージが現れた。励まされたのと、情けないのと、半々くらいで、都合よく信じられない自分がつまらなく思えた。月曜日だけれど月は見えないし。銀杏BO…

特に理由はないけれど

ふつうがわかるひとがいつもうらやましかった。なんとなくでもいいんだって。わすれたいことはひょうはくざいをつかってもきえなくて、おぼえていたいことはマッキーでかいてもわすれてしまった。ぼのぼのみたいにぺもぺも〜ってじぶんらしくいられたらいい…

ラーメンとお冷とマジックアワー

きずつけたり、きずつけられたり、すくわれたり、まもったり、それらを聴いたり、語ったりするでもなく、ただそこにあることの大切さを実感する日々のなかで、わたしが純粋にしたいとおもえることを、言語化しているだけ。中華料理屋さんのお冷は氷たっぷり…

海月と苦労を語りあう

白でも黒でもないことが多いせいで、色んなことの間でゆらされてしまうのかもしれない。どちらの味方にもなれないってほんのりと冷たいから深まらない。そういえば、自分のことを話していたときに「なんか、他人事みたいだね」って笑われたことがあった。ワ…

氷のなかのプリズム

もっとちゃんとするね。と、ことばのうえではけついひょうめい。いつだって、じぶんとのやくそくすらまもれないのに。たよりなくてごめん。ひとりでちゃんとしたいのに。おしまい。では、かなしすぎるけつまつ。とはいえ、むしろ、あなたをふしあわせにしな…

集合的無意識

ちいちゃなときにクラシックバレエを習っていたのだけれど、引っ越すことになって自然とやめてしまった。それなのに、おぼろげにも思い出せなかった先生の顔をすらすらと絵に描くことができたり、再会したときに思わずにっこりと笑ってしまったり。という、…

ラズベリーの種を数えないで

毎日歩いている道の最後の曲がり角に実っていたラズベリー。ひとつ食べてみると甘酸っぱくてみずみずしい。ちいさな種がプツプツと噛むたびに口のなかで弾けて、あのこのピアノを思い出す。緊張でペダルを踏む足が震えていた。それでも、わたしはちゃんと感…

爽快レモンタルタルのまたたき

マックのナゲットは5個入りでシェアして食べると物足りない。でもそのくらいがちょうどいい。そういうことってある気がする。終電までおしゃべりするファミレスも、毛先だけオレンジ色にひかる髪も、24枚撮りのフィルムも、ポストカードに書く手紙も、2週に1…

プールサイドで泣けなかったわたしへ

きれいな夕日を見たときも、かわいいワンピースを着たときも、ぬいぐるみをお風呂に入れたときも、あまいアイスクリイムを食べたときも、ラブレターを燃やしたときも、わたしの孤独はその歌声に救われてきた。愛のままを。はじめてライブで聴いたとき、学生…